ひとへや

彼の横顔がどこか幼く寂しそうに見えたのはきっと気のせいじゃないと思った。

きっとあのワンルームで彼はまだ泣いているのだろう。

彼は強い人だった。

いつだって臆病で弱い私を守った。

彼は優しい人だった。

私とならんで歩くときはいつも道路側を歩いた。私の嫌がることはしない人だった。

私に尽くせば尽くすほど。私に惹かれれば惹かれるほど、彼は一個の人ではなく、私を生かすシステムになった。

だから私は、彼とおわかれをした。

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